再生可能エネルギーを地域活性化、協働のまちづくりにつなげる取組について【2022年2月定期議会一般質問】

詳細記事

米谷地区バイオガス発電事業計画の問題から、本市としてエネルギーの地産地消について検討するべきと考え、質問しました。

【一般質問】

「登米市自然環境等と再生可能エネルギー発電事業との調和に関する条例」の策定が進んでいます。この条例は、豊かな自然環境や美しい景観、安全・安心な生活環境の保全下、地域資源を活かした再生可能エネルギー発電事業を進めることとしています。

米谷地区バイオガス発電事業計画に多くの住民が反対の意思を示しているのは、技術の安全性が担保されていないこと、貴重な自然を守るべき地域において、住民に対して十分な説明なく進められていることに加え、発電事業の利益が市外に流出して地域活性化につながらないことに起因しています。

本市において、循環型社会、地産地消の取組はこれまでも進められてきました。世界や国がカーボンニュートラルに大きく舵を切るなかで、地域資源を活かした再生可能エネルギーの創出、バイオマス利用を、地域振興、持続可能なまちづくりにどうつなぐのか、その力量が問われています。

そこで、次の5点について市長の考えを伺います。

(1)平成22年の「登米市地域新エネルギービジョン」策定から12年が経過しますが、達成度はどの程度とお考えですか。

(2)富谷市自然環境等と再生可能エネルギー発電設備設置事業との調和に関する条例施行規則には、抑制区域の一つに政策的抑制区域が定められています。本市においても、地域の特性を考えて、推進、抑制の政策的区域を検討していくべきと考えますがいかがですか。

(3)まちのために!地球のために!自分が楽しく暮らすために!意思ある市民や地元事業者、自治体などが中心になって、住民参加型で地域資源を活かした再生可能エネルギーをつくり、使う動きが全国の自治体で広がっています。長野県飯田市では、地域の市民団体等とともに実施計画を策定し、初期費用を調達しやすいよう、基金を設けて貸付の財源としています。丸森町筆甫地区では、住民自治組織が、再生可能エネルギーの推進に加え、高齢者福祉、特産品のブランド化などを行い、移住者を呼ぶ動きをつくっています。

本市においても、再生可能エネルギー推進を、市民協働のまちづくりの柱の一つに位置付け、支援体制をつくっていってはどうでしょうか。

(4)耕畜連携は本市の先駆的なバイオマス利用です。有機センターの利用実態を調査、見える化して、適正化を図りながら、地産地消を進めてほしいと考えますがいかがですか。また、今後の可能性として地産地消型バイオマスプラントを検討してはどうでしょうか。

(5)平成23年にまとめられた「登米市地域新エネルギー重点ビジョン報告書」に書かれているスマートコミュニティについては、検討が進められているのでしょうか。

【回答】

【地域新エネルギービジョンの達成度】

本市にふさわしい新エネルギーとして太陽光発電、太陽熱利用、木質バイオマスエネルギーなどを位置づけ、住宅への地域産材利用の推進や市有林オフセット・クレジットの販売、住宅用新エネルギー設備の導入支援及び公共施設への設備導入などに取組できており、概ね順調に推移していると認識している。

【本市の地域特性を考えて、推進、抑制の政策的区域の検討】

政策的抑制区域の考え方については、条例の目的に照らし、他の抑制区域と同様の合理性があることを確認し、市環境審議会の意見を伺い、必要に応じて検討していく。

政策的推進区域については、条例での指定は難しいが、昨年改正された「地球温暖化対策推進法」において、地方公共団体が策定する実行計画に促進区域を指定できる旨の指定がなされた。国や他自治体の取組等を注視していく。

【再生可能エネルギーに関する市民協働のまちづくりの支援体制】

本市環境基本計画の基本目標に、「みんなで協働して環境保全に取り組むまち」を掲げており、先進的な事例などを参考として、本市にあった取組、支援体制のあり方を調査・研究していく。

【有機センターの利用実績】

市内には、みやぎ登米農業協同組合で所有している米山有機センターを含め7カ所に有機センターがあり、平成30年度から令和2年度まで3年間の利用実績の平均は、搬入数量約5万3700トン、製品堆肥販売量約7900トン、施設稼働率は67.4%となっている。

【資源循環型農業の取組強化】

本市農業の特長として、畜産業由来の堆肥を水田で活用し、稲作から生じた稲わらを畜産の粗飼料等に利用するという、耕畜連携の資源循環型農業を先駆的に実践してきた。今後は、現状と課題を「より見える化」することで、有機センター堆肥の利用促進と、資源循環型農業の取組強化につなげていきたいと考えている。

【エネルギーの地産地消】

国の「みどりの食料システム戦略」の中で、家畜排せつ物、食品廃棄物、農作物残渣などの地域資源を活用し、売電に留まることなく、熱利用などのエネルギーの地産地消に向けての支援策が示されたところであり、今後、本市の地域資源をどうように活かし、またどのような課題があるのかなど、情報収集に努めていきたい。

【スマートコミュニティの検討】

地域内でのエネルギーの効率的利用を図る地産地消の取組については、国が示す地産地消型の再生可能エネルギーの考え方が他自治体の事例などを調査・研究しながら進めていく。

【回答を受けての私見】

2010年に「地域新エネルギービジョン」が策定されましたが、地産地消型の再生可能エネルギーについての調査・研究は進んでいるとは言えません。地域資源を活かし、環境に負荷をかけない再生可能エネルギーのあり方を市民協働で考え、取組を進める必要があると考えます。

タイトルとURLをコピーしました