1月25日、「豊里こども園」の侵入事件の被告に懲役7年6月の判決が下されました。
この事件は、職員の迅速な対応のおかげで最悪の事態は免れましたが、事件当時、施設に園児約70人がいて、多数の幼い命が奪われる危険性もありました。加害者は、中学時代、毎日のように苛烈ないじめを受けたことが心的外傷となり、人生に絶望したまま凶行に及んだとのことですが、孤立感を深め、究極まで追い詰められていた加害者を支援につなぐことはできなかったのか。これを教訓にした社会のセーフティネットの構築が必要と考え、以下の点について伺います。
(1) なぜ、犯行に至るまで、支援が届くことはなかったのか。セーフティネットが機能しなったことについて市長はどうお考えですか。中学時代、これだけのいじめを受けていたことに対して、学校や教育委員会は何の手立ても出来なかったのか。教育長のご認識を伺います。
(2)孤立や困難を抱えた人をどう支援につなぎ、社会参加に導く体制をつくっていくのかが問われています。国では、多様化・複雑化する福祉課題に対して、市町村における包括的な支援体制の構築を推進するため、「断らない相談支援」「参加支援」「地域づくりに向けた支援」の3つの支援を一体的に行う「重層的支援体制整備事業」が2021年に制度化されました。
石巻市では以前から「福祉まるごと窓口」が設置され、関係機関の連携も進められてきました。また、秋田県藤里町では、県の「一人の不幸も見逃さない運動」が起点となり、社会福祉協議会が中心になって、福祉ニーズをキャッチし、公私のサポート・サービス提供につないで福祉のまちづくりを進めています。
① 本市でも、困難を抱える人、誰もが相談することができ、必要な支援につなぐ包括的な相談窓口を設けるべきと考えますがいかがでしょうか。また、SNSを活用した相談支援、参加支援も必要なのではないでしょうか。
② 藤里町では、家庭訪問員を配置し、ひきこもり者や長期不就労者などに対して、直接的な後押しができる情報提供や参加意欲の向上につないでいます。こうしたアウトリーチ型支援についてのお考えをお聞かせください。
③ 今回の事件では、本人も家族も積極的に行政や福祉の支援を求めることをしなかったようです。困難を抱える人を支援につなぐ重要性について、本人や家族だけでなく地域全体が理解し、支え合う関係づくりが大切です。地域の理解を促進する事業が必要と考えますがいかがでしょうか。
【なぜ犯行に至るまで支援が届けられなかったのか。
セーフティネットが機能しなったことについてどう考えるか】
本人や家族からの相談のほか、行政区長や民生委員・児童委員、関係機関、さらに地域からの情報提供により、支援を必要としている方を把握し、必要な支援につなげているが、この事件を通して、声無き声を拾い上げ、支援につなぐ難しさを再認識した。
【困難を抱える人、誰もが相談することにができ、必要な支援につなぐ包括的な相談窓口を設けるべきについて】
本市の相談体制は、介護、障がい、子育て、生活困窮の分野ごとに総合支所を含め相談窓口を設けるとともに、関連する部署や関係機関と連携、情報共有を行い包括的な相談窓口の機能を果たしている。
【SNSを活用した相談支援】
メールでの相談に対応している。
【アウトリーチ型支援】
状況に応じて市職員や関係機関の職員が家庭を訪問し、相談や情報提供を行っている。アウトリーチ型支援については、訪問に抵抗がある方もいるため、相談者の希望に沿った相談対応に努めていく。
【地域の理解促進に向けた取組】
困難を抱える方に適切な支援を提供するためには、いかにして支援を必要としている方を把握し、早期支援につなげていくのかが重要と捉えている。そのためには、地域で行われる会議や研修会の中で情報交換や支援に関する制度説明等を行い、地域の協力をいただきながら支援を必要としている方の早期把握に努めていく。
【回答を受けての私見】
困難を抱えた人の課題が多様化、複雑化しているなかで、情報が集積され、専門家を配置した包括的相談窓口は重要です。本市でも、困難を抱えた人がいつでも頼れる相談窓口の整備を検討すべきと考えます。