東和町米谷のバイオマス発電所建設について【2021年6月定期議会一般質問】

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この問題を知ったのは、「バイオマス発電計画があり、三滝堂の環境が破壊されてしまいます。助けてください」という米谷の若者のSNSへの投稿でした。

私はすぐに「一緒に調査しましょう」と返しました。自分達が暮らす地域、美しい自然環境を守りたいと行動する若者たちを何とか応援したいと思い、最初の一般質問で取り上げました。

【一般質問】

本市東和町米谷平倉地区に、食品残渣由来の、メタン発酵ガスを利用して発電する、バイオガス発電所の建設が予定されています。米谷地区の住民からは、発電施設の処理排水が、南の沢川に放出されることで、住民の生活や自然環境へ悪影響が予想される等、数々の懸念の声が上がっています。

そこで、以下の点について伺います。

(1)東和町の豊かな自然環境は、住民の長年にわたる努力により形成されてきた、本市のかけがえのない財産です。NHKの朝ドラ「おかえりモネ」の美しい映像、自然の循環を大切にして暮らす人々の姿は、これこそが本市が次世代に繋ぐ、貴重な財産であることを、私たちに教えています。

カジカガエルが鳴き、ゲンジボタルが舞う、米谷相川地区周辺や、三滝堂ふれあい公園、ふくろうの森キャンプ場、漁協の稚魚育成場、米谷・錦織に飲み水を提供している浄水場は、南の沢川や大関川とともにあります。その自然環境と、それを次世代につなごうとしている住民は、本市の財産そのものです。本市環境基本条例では、住民の環境権を保証しています。今、本市に求められているのは、本市まちづくり基本条例に則り、住民の思いと力を活かした協働のまちづくりを進めることと思いますが、市長の考えを伺います。

(2)この発電事業による環境破壊について、住民は数々の懸念を持っています。御前崎市ではまもなく稼働する予定だった食品残渣を利用したバイオマス発電所で原料が漏れ出し周囲に異臭が漂う事態が発生するなど、全国ではトラブルが数々発生していると聞いています。市長は、この事業によってこの地域の自然環境が破壊されることはないと断言できますか。万が一そのような事態に陥った場合、住民に対する市としての責任について、市長の考えを伺います。

(3)2016年改正の「再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」の趣旨と背景、資源エネルギー庁のガイドライン、再生可能エネルギーに関する宮城県のガイドラインを理解していたのであれば、本市はこの開発行為に対して、企画立案の初期段階から、事業者に対して適切な土地の選定や地域との関係構築に努めるよう求める役割があったと思いますが、市長の考えを伺います。

(4)現在この事業について、本市開発指導要綱に沿った手続きが進められようとしています。再生可能エネルギーに関するガイドラインや条例を持たない本市においては、これが唯一の協議の場となります。このバイオマス発電事業については、自然環境・生活環境の保全、原料の安全等、様々な角度から十分な協議を行うべきであり、土地の選定は適切であったのか、住民の懸念事項についても調査すべきと考えますが、いかがですか。そして、しっかりと調査し、住民の理解を得るまでは、協定の締結はするべきでないと考えますが、市長の考えを伺います。さらに協議内容等について、情報を公開する考えはありますか。

(5)本市開発指導要綱第10条の事前住民説明会についてお聞きします。この開発によって影響を受ける可能性がある関係者は、飲み水(浄水場)の関係からすると米谷だけでなく錦織にも及びます。さらに本市の環境財産と考えれば、市民全体に関わる問題になります。市は説明会の対象住民についてどのように考えていますか。市長の考えを伺います。

(6)宮城県のガイドラインでは、「事業者は、地域住民から事業に対する要望、苦情、懸念等があった場合、誠意をもって対応し、理解を得ること。」と定めています。市は、地域住民の様々な懸念、要望事項について、情報や資料を提供し、誠意をもって丁寧に説明して理解を得るよう、事業者に求めるべきと考えますが、市長の考えを伺います。

(7)事業者の計画概要には、地域のメリットとして「災害時に電力不通となった場合その復旧までの間、発電所で発電した電力の一部を地域に対し提供します」と書かれていますが、どのように理解しますか。市長の考えを伺います。

【回答】

【住民の思いと力を活かした協働のまちづくりについて】
市内には、東和町をはじめ豊かな自然環境があり、これを次世代につなごうとする市民の一人一人が、本市の貴重な人材であると認識いる。

【この事業によってこの地域の自然環境が破壊されることはないと断言できるか】
国の事業計画認定を受けているものだが、地域住民の方々から不安の声が寄せられており、施設の設置による自然環境への影響を懸念しているところである。

【万が一自然環境が破壊されるような事態に陥った場合、住民に対する責任】
自然環境が破壊されるような開発は、決して許されるものではないと理解している。そうした事となった場合には、事業者側の責任のもと、関係法令、基準を遵守するように改善を求めていく。

【事業者に適切な土地の選定や地域との関係構築に努めるよう求める役割】
国のガイドラインでは、市の役割は、事業者からの必要な措置や手続き、地域住民との関係構築等についての相談対応を行うこととされている。本市の開発指導要綱に基づく開発協議において、住民との良好な関係構築を求めるなど、事業者に指導を行っていく。

【この事業について、土地の選定は適切であったのか】
土地の選定については、事業者と地権者との間で決定するもので、本市として土地の選定を指導できるものではないが、今回の開発区域が規制の無い区域であることは確認している。

【住民の理解を得るまでは、協定を締結するべきではないについて】
地域住民の方々から、発電所からの排水が河川へ放流されることによる環境への影響、原料の安全性 など、さまざまな意見が寄せられていることは承知している。協定の締結については、要綱に則った市の指導に対し、事業者との合意が整った上で締結するものであり、今後、事業者との協議を重ねながら慎重に進めていく。

【協議内容等の情報の開示について】
事業者との協議内容は市民に広く公表しているものではないが、必要があれば本市情報公開条例の規定に基づき、対応していく。

【開発指導要綱10条の事前説明会における対象住民について】
本市として、開発で影響する範囲における住民の理解を得るための事前説明会は必要であると考えており、地元住民の意向を踏まえながら、対象地域を広げた説明会を開催するよう事業者に対し求めていく。

【災害時に発電所で発電した電力の一部を地域に対し提供するとは】
災害時等においては、敷地内において携帯電話や各種バッテリー等の充電ができる場所として地域に提供することは可能と考えるが、平常時と同様に送電線を経由して地域に配電することは困難と認識している。

【回答を受けての私見】

市長は、一旦壊したら戻らない環境というものはあり、何にも増して優先すべきと考える、住民の生活環境、自然環境を守ることは市の努めであると語りました。事業者の地域住民への説明は全く不十分です。市は住民の懸念事項についても調査し、住民の懸念が払拭され理解を得られなければ、開発指導要綱における事業者との協定の締結はするべきではないと考えます。

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